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よくある質問

日本プライマリ・ケア連合学会について

Q1 日本プライマリ・ケア連合学会が設立した経緯について教えてください
A1
1963年、当時は大学や病院を離れ勉強や研究の場があまりなかった開業医有志が「実地医家のための会」を設立しました。1979年、更なる学術団体としての活動と多職種連携に基づいたプライマリ・ケアの発展のために、日本プライマリ・ケア学会が設立されました。その後徐々に会員も増加し、4000人を超える学会としてPCの普及と進歩のために活動してきました。一方で、プライマリ・ケアにおける専門医としての家庭医育成・支援を理念に掲げた日本家庭医療学会(1986年家庭医療学研究会として発足、2002年学会設立)、および、診療所だけでなく病院においても総合診療を行う医師が必要であることを提唱する日本総合診療医学会(1993年総合診療研究会として発足、2000年学会設立)が誕生し、それぞれの学会が特徴を生かしながら様々な活動をしてきました。
数年前より、PC関連領域において、国による医療行政の視点や、学会内から関連学会が協力すべきという意見もあり、3学会の合併についての議論が始まりました。
 2010年4月、日本のPC関連3学会が一致団結し、「日本プライマリ・ケア連合学会」として、新しい一歩を踏み出しました。
Q2 3つの学会が合併することに、どんな意味があるのですか?
A2
 これまで日本では、医学の専門細分化が進む中、それぞれの特徴や役割の差異を強調する形で、多くの医学会が誕生してきました。本学会の前身である、(旧)日本プライマリ・ケア学会(以下PC学会)、(旧)日本家庭医療学会(以下FM学会)、(旧)日本総合診療医学会(以下GM学会)も例外ではありません。
 PC学会は開業医が多く、歯科医師、薬剤師、看護職なども会員であり、地域ケアを重視してきました。FM学会は水平型の専門医である家庭医養成を主眼に、若手医師や学生が多く集っています。GM学会は比較的大規模な病院の総合診療科勤務医が主なメンバーで、教育や研究に力を入れてきました。会員層や理念が少しずつ異なる3学会が、ひとつにまとまって新しい一歩を踏み出したことは、日本の医療史において画期的といえます。
 合併に向けての議論の端緒は、超高齢社会の到来や医師不足によって生じた医療提供体制の課題を、プライマリ・ケア関連学会が力を合わせて解決しようと志したことでした。小異を捨てて結集することで、患者を総合的・継続的に診る能力に秀でた医師をより多く育て、高度専門医療偏重が生じさせた歪みをより効果的に改善していくとともに、医療保健介護関係者のみならず地域住民に向けた情報発信をより力強く行い、理念の浸透に努めていきます。
Q3 学会には、どのような職種の方が入っているのですか?
A3
 当学会には、医師、看護師、薬剤師、栄養士、歯科医師、行政関係の方々など、多くの職種の方が活動に参加しています。
医師 6,930名
歯科医師 75名
薬剤師 446名
コ・メデイカル 300名
学生 163名
賛助会員 22名
*コ・メデイカルには、看護師、理学・作業療法士、栄養士などを含む
*平成25年3月31日時点で正式登録を済ませた人数を表記
Q4 多職種の学会であることにどのような意義があるのですか?
A4
 本学会は「人々が健康な生活を営むことができるように、地域住民とのつながりを大切にした、継続的で包括的な保健・医療・福祉の実践及び学術活動を行う」ことを目的としています(定款より)。
 少子高齢化のさらなる進行やコミュニティーの変貌は、日本の地域医療に大きな転換期をもたらしています。介護を要する老夫婦2人暮らし、いわゆる「老老介護」が話題になった時期は過ぎ、現在ではその上に認知症が加わった「認認介護」が常態化しています。独居高齢者では地域での孤立が問題になっています。虐待など、社会的要素が複雑に絡んだ、関わる者にとってもストレスの多い困難事例が増加しています。このような中、従来の枠組みにとらわれ狭義の一次医療に力を注ぐだけでは、ましてや、医師のみの活動に終始していては、本学会の目的を十分に達成することはできません。
 限られた地域資源を有効に活用し、力を合わせて問題を解決するためにも、又、関係者が困難を分かち合い燃え尽きを防ぎ、励まし合い向上を図るためにも、医療・保健・福祉・介護の連携を推進して「多職種協働」で住民の生活を支えることが重要になります。
 本学会は、会内での共同作業や、さまざまな職種の活動や価値観に触れる機会を提供することを通じて、多職種間の相互理解を進め、パートナーシップをより強固にし、地域連携のノウハウを集積していきます。そしてそれぞれの地域での多職種協働がより充実・進化することに貢献します。
Q5 学会の主な活動内容を教えてください
A5
 当学会では、PCを学びたいと考えている医学生からPCを実践している医師までを対象に、幅広い活動を行っています。それに加えて、歯科医師,薬剤師、看護師などのコメディカルスタッフに対する活動も活発に行っており、特に地域連携、多職種協動を重要なテーマとして、PCに携わる多職種が共に学び、チームケアを身につけることができるような研修会や地域活動を充実させています。主な活動は以下の通りです。
国内学術大会
  • 2010年6月29~30日、東京国際フォーラムで第1回学術大会を開催
  • 2011年7月2~3日、北海道(札幌)において第2回学術大会を開催予定
国際会議
  • 世界家庭医学会(WONCA)公式会員
  • WONCAの世界大会・アジア太平洋地域大会への参加
    2005年WONCA(アジア太平洋学術会議)の運営
教育研究セミナー・シンポジウム
  • 学生研修医対象の夏期セミナー
  • 一般会員対象の秋期セミナー
  • 後期研修医対象の冬期セミナー
  • プライマリ・ケア認定薬剤師対象の研修会
  • 臨床研修指導者研修会、生活習慣病指導者研修会、EBM研修会その他多数のセミナーや研修会が、各地で開催されています。
各地域での地方会の開催
  • 各地域ブロックの地方会
  • 各地のプライマリ・ケア研究会
認定医・専門医制度・認定薬剤師制度の運用
  • プライマリ・ケア認定医制度
  • 家庭医療専門医制度
  • プライマリ・ケア認定薬剤師制度
市民対象の講演会・フォーラム・出版物
  • 地域における保健医療福祉の連携推進
  • 一般市民対象の講演会、パンフレット作成、情報発信
学会誌・会報・出版物
  • 和文および英文学術雑誌の発行(4冊、1~2冊/年予定)
  • ニュースレターおよび出版物(4回/年予定、随時)
各医学会・医療組織との交流や共同企画
  • 各組織との交流:日本医師会、各種学会、厚生労働省
  • 日本歯科医師会と医科歯科連携ワーキンググループの設置
  • 他学会や組織との共同で、在宅医療,救急医療,自殺予防などを推進する
Q6 学会員になるにはどうすればいいですか?
A6
本学会ホームページの「入会」ページをご確認の上、お手続きください。入会申込フォーム(HP上)または入会申込書(ダウンロード版)の内容、および会費納入が確認されれば、学会員になることができます。年会費は医師15,000円、医師以外の職種は10,000円です。大学生、短大生、専門学校生、高等専門学校生も学会員になることができます。学生会員の年会費は2,000円です。
Q7 学生ですが学術集会に参加できますか?
A7
 もちろんです。当学会はすべての学生を歓迎しています。医学生、看護学生、医療系の学生に限らず、すべての学生を歓迎します。当学会には、学生・研修医部会があり、学術集会はもちろんのこと、夏期セミナー、冬期セミナーをなどの学生主体の活動も活発です。このようなセミナーでは学生が主体として、プライマリ・ケアについてさまざまなことを学ぶことができますし、研修病院の指導医、実際に地域でプライマリ・ケアに関わっている多くの医師や看護師をはじめとしたスタッフと交流を深めるチャンスです。学生は、学術集会の参加費は割引されており、学会費も年間2,000円です。ぜひ、遊びにくるつもりで参加して下さい。私たちは皆さんを待っています!
Q8 学術集会や地方会の情報はどこを見ればいいですか?
A8
 会員の方への通知は、2010年現在は郵送が主となっております。学会誌(日本プライマリ・ケア連合学会誌)には、今後の学術集会の予定や告知の記載がありますし、関連するワークショップや催しについて案内を同封することもあります。学会ホームページ内にも関連集会の告知をしております。地方会などの情報は地域の大学や教育病院、あるいは地区医師会の関連ホームページにもある場合があります。今後は、Emailをはじめとしてあらゆる手段を用いて速やかな情報提供をしていくよう体制を整備しております。

日本プライマリ・ケア連合学会の認定制度について

Q1 医師の認定制度について教えてください
A1
 医師の認定には以下のものが含まれます。認定に関するページも参照を。

1)プライマリ・ケア認定医
旧日本プライマリ・ケア学会認定医制度より引き継がれるものです。申請には医師としての7年以上の活動歴が必要で、書類とMEQ(Modified Essay Question)試験により審査が行われます。認定医試験は1994年よりスタートし、これまで17回の認定試験が行なわれました。現在約900名がプライマリ・ケア認定医として活動しています。

2)家庭医療専門医
旧日本家庭医療学会が2006年から認定した後期研修プログラム(2010年、126施設)を引き継ぎ、この3年間の家庭医療後期研修プログラム(内科6ヶ月、小児科3ヶ月、診療所研修6ヶ月を必修研修として、皮膚科、整形外科、産婦人科、精神科、眼科、耳鼻科など各領域の外来研修も行う)の修了者がポートフォリオなどの書類審査及びMEQ(Modified Essay Question)とCSA(Clinical Skills Assessment)試験を受けて認定されるものです。2009年から家庭医療専門医認定審査があり、第1回14名、第2回56名が専門医として認定されました。

3)病院総合医プログラム
旧日本総合診療医学会の中で、病院において総合診療を行う医師を対象として、後期研修のプログラムの要綱がすでに策定されています。まだ、実施の段階には至っていませんが、比較的早期に実施できるよう、新学会内で検討されています。将来は、病院総合医の専門医制度を目指しています。

Q2 薬剤師の認定制度について教えてください
A2
プライマリ・ケア認定薬剤師制度があります。
 地域で働く薬剤師の資質向上を目的に、プライマリ・ケア認定薬剤師制度が2009年からスタートしました。この認定制度は、2011年2月21日に公益社団法人薬剤師認定制度認証機構より特定領域認定制度として医療系学会で初めての認証を受けました。この認定資格を習得することで、薬剤師は医師・歯科医師・看護師など多職種とともに、真のプライマリ・ケアチームの一員になることを目指します。
 認定を受けるためには、学会指定の研修50単位以上の取得と認定試験に合格しなければなりませんが、現在全国で約500名の薬剤師が研修開始届を提出して研修に励んでいます。

プライマリ・ケアを提供するシステムについて

Q1 プライマリ・ケア医とは開業医のことですか?
A1
 開業している診療所の医師の全てが、プライマリ・ケア医というわけではありません。開業医の中にも総合病院や大学病院の専門外来と同様の診療スタイルを行うところがあります。その場合には、診療所という場所が異なるだけであり、診療内容は本質的にプライマリ・ケアの意図するものとは異なります。具体的には、美容外科がその代表です。
 開業診療科の中で、病院で勤務していたときには特定の専門科に専従していたけれども、開業医となってからは、プライマリ・ケアの機能の大部分を網羅した診療を行っている方がいます。開業までの経験、もしくは、開業してからの経験を元に、切磋琢磨を積み重ねて、プライマリ・ケアの技能を高めてきた方達です。このような医師はプライマリ・ケア医といえます。また、最近になり、初期研修を終えた直後から、当学会の提唱する内容に沿って、プライマリ・ケアの専門家を目指してトレーニングを積んできたプライマリ・ケア医(家庭医療専門医:家庭医)も育ってきています。
Q2 病院で働く医師の中には、プライマリ・ケア医はいないのでしょうか?
A2
 病院で働く医師の中にも、プライマリ・ケアの機能を果たしている医師は沢山います。例えば、ベッド数が100床以下の病院を想定してみてください。皆さんの周辺にもそのくらいの規模の病院は、おそらく存在しているはずです。そのような病院では、たとえ内科という診療科であっても、皆さんが腰痛、膝痛、発疹、耳鳴などを相談すれば、親身になって診療をしてくれることが多いはずです。少なくとも「私の専門外ですよ」という返事が返ってくることは多くないと思います。何故ならば、内科であろうが外科であろうが、その規模の病院では、「日常でよく起こる病気」については専門外とは思っていない医師が多いからです。むしろ「日常でよく起こる病気」については自分達の専門範囲だと思って働いているはずです。もちろん、専門医に相談するようなレベルの問題であれば、必要に応じて専門医に相談・紹介することは当然意識して診療しております。そして、日本中の病院のうち3分の1くらいが、そのくらいの規模の病院なのです。つまり病院で働く医師の中にも、結構な数のプライマリ・ケア医が存在していることが想像できます。
Q3 大病院で働く医師の中には、プライマリ・ケア医はいないのでしょうか?
A3
 大病院や大学病院で働く医師の中にも、プライマリ・ケアの機能を果たしている医師やプライマリ・ケアの視点を重視した診療を行っている医師は存在しています。ただし、診療所やベッド数の少ない病院で働く医師に比べて、「日常でよく起こる病気」の全てに対して診療をしていないかもしれません。なぜならば、このような病院には、「日常でよく起こる病気」に対しても、眼科や耳鼻科や整形外科などの各診療科が対応しているからです。その結果、主として内科における「日常でよく起こる病気」に対してのみ、プライマリ・ケアの機能を果たしていることが一般的です。「総合内科」「総合診療科」「一般内科」などの名称を掲げている部門が、そのような医師の所属する科です。1990年以降、多くの総合病院において、そのような診療科が増加してきています。これらの科では、診療所や小規模の病院では少し高いレベルの「日常で起こる病気」に対しても、院内で容易に各専門科と連携ができるという総合病院の特性を活かして、プライマリ・ケアを行っています。
Q4 診療所から大病院まで、働く場所が違うプライマリ・ケア医の相違点は?
A4
 (臓器別)専門医による医療を統合し、患者さん全体に目を向けた医療という意味では共通点が多いといえます。G.Engelが提唱した生物・心理・社会モデル(図)が両者の共通点と相違点を示しています。患者を中心に臓器・細胞へ向かうベクトルとご本人全体やその背景である家族・地域へ向かうベクトルを使い分けて、いったりきたりする能力が共通点として挙げられます。臓器障害に至っていないが体調の不良をきたす患者さんの多くは大きい病院の専門医のところでは「異常ありません」「大丈夫です」で終わってしまい、そこから先の患者さんの対応ができるのは総合診療医と家庭医だと思われます。
 家庭医は大病院主体の総合診療医とくらべ、患者・家族の住んでいる地域に近いところで診療所・小病院医師として患者さんと関わるため、このベクトルの向きがより家族や地域に向ける必要があるのです。家族中がかかり付けとして利用するため家族図を用いた家族志向のケアが容易である点や、地域の健康問題に学校医や産業医として関われる点も役割として異なっています。また、内科に関わらず、小児科・整形外科・皮膚科・精神科領域などより幅広い問題に取り組む必要が生じるのも特徴です。
図:生物・心理・社会モデル
Q5 診療所や病院以外でもプライマリ・ケアの恩恵は受けられますか?
A5
 患者さんの抱える問題は様々です。健康に強い関心と不安をもつ国民が増加していますが、医療保険財政面からは、軽度の身体の不調は医療機関に至る前に自分で手当てすることが重要視されています。街の薬店で手に入る一般用医薬品によるセルフメディケーションが中心的で重要な役割を果たしつつあります。セルフメディケーションとは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」(WHO)なのです。皆さん自身がセルフケアのもとに予防に努め、軽度な身体の不調には、一般用医薬品によるセルフメディケーションにより初期自己治療を行います。それで治療ができない場合に、医師による軽度疾患治療行為の初期医療を受けます。薬剤師は一般用医薬品の専門的トレーニングを受けた唯一の医療関係者です。今、プライマリ・ケアの認定薬剤師を目指して薬剤師が研修に励んでいます。

プライマリ・ケア(PC)とプライマリ・ヘルスケア(PHC)の違いについて

Q1 プライマリ・ケア(PC)とプライマリ・ヘルスケア(PHC)の違いは?
A
 プライマリ・ケア(PC)が有する定義や意味合いは幅広いものです。いろいろな状況やTPOがみられ、簡潔ですべてを包含できる解釈は難しく、下記のような場合があります。
 プライマリ・ヘルス・ケア(Primary Health Care、略称:PHC)は、1978年アルマ・アタ宣言で初めて使われ、PHCは「すべての人々に健康を(Health For All by the Year 2000 and beyond)」イニシアティブの目標達成の鍵としてWHO加盟国によって承認されました。
 欧米先進国で一般的に用いられるPCは、アルマ・アタ宣言による定義とは異なり、米国の米国科学アカデミー医学研究所によるものが知られています。わが国では、日本PC連合学会の役員らも参加し議論した国立国語研究所「病院の言葉」委員会の中で議論がなされ報告がなされました(2009)。その中で、PCの表記に関して、プライマリーケア、あるいは、日本PC学会で使用されてきたプライマリ・ケアがあると註において記載がなされています。以上の詳細については、引き続くQ& Aで解説を行います。
Q2 アルマ・アタ宣言におけるプライマリ・ヘルスケア(PHC)とは?
A2
 1978年、カザフスタンアルマ・アタ(現・アルマティ)で世界保健機関と国際連合児童基金による合同会議が行われました。そこで公表されたのが、「アルマ・アタ宣言」です。この中で初めて、プライマリ・ヘルス・ケア(Primary Health Care、PHC)が定義づけられました。
 PHCとは、「現実的で科学的妥当性があり社会的に許容可能な方法論と技術の基づいており、コミュニティにおける個人と家族が彼らの完全な参加を通して普遍的にアクセス 可能で、自己決定の精神に基づいて発展のすべてのステージにおいてコミュニティと国が維持することが可能なコストで提供可能な、必要不可欠なヘルスケア」を意味するものです。
 また、アルマ・アタ宣言におけるPHCの概念は、「すべての人々に健康を(Health For All by the Year 2000 and beyond)」イニシアティブの目標達成の鍵としてWHO加盟国によって承認されました。その後PHCの精神が広まるとともに、各国における保健衛生が向上し、近年、国際保健(International Health)という複合的学問領域における議論が進み、Global Healthという用語の普及にもつながってきています。
Q3 先進国におけるプライマリ・ケア(PC)とは?
A3
 世界には、発展途上国や先進国があります。前者におけるPHCは、医療よりもそれ以前の保健に重点が置かれており、該当国の政治経済や生活環境なども大きな問題となっています。
 一方、後者では、医療制度や健康保険制度、医療施設や従事者などハードやソフト面がほぼ備わっています。従って、医療者と患者・家族・地域との関係性を軸とした議論や診療が可能となってきます。そのため、PC医などをベースとした医療中心モデルや、PC機能として医療サービスを推し進めていくことが可能となります。
 後者で通常用いられるPCについては、米国科学アカデミー医学研究所National Academy of Sciences (NAS)医学部門によるものが参考となります。つまり、「プライマリーケアとは、患者の抱える問題の大部分に対処でき,かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである」というものです。
Q4 日本における用語「プライマリ・ケア」とは?
A4
 国立国語研究所「病院の言葉」委員会の報告書(2009)で、プライマリーケア〔総合的に診る医療〕とは、「大きな病院での専門医療に対して、ふだんから何でも診てくれ相談にも乗ってくれる身近な医師(主に開業医)による、総合的な医療です。今後の社会的な医療体制を考える上で重要な概念です。」と簡潔にまとめられています。
さらに、1.まずこれだけは:「ふだんから近くにいて、どんな病気でもすぐに診てくれ、いつでも相談に乗ってくれる医師による医療」、2.少し詳しく:「あなたの近所にいて、何でも気さくに診てくれ、いつでも相談に乗ってくれる医師による医療のことです。特定の病気だけを診る専門医療とは違って、患者を一人の人間として、総合的に診療する医療のことです。緊急の事態が起こったり専門的な医療が必要になったりしたときは、最適の専門医に進んで紹介してくれるので、安心です」、3.時間をかけてじっくりと:「急にからだの調子が悪くなった緊急の場合の対応から、健康診断の結果についての相談までを行う医療のことです。プライマリーケアを行う医師は,そのための専門的なトレーニングを受けており、患者さんの抱える様々な問題にいつでも幅広く対処できる能力を身につけている『何でも診る専門医』です。必要なときは最適の専門医に紹介します。在宅診療や地域の保健・予防など、住民の健康を守る役目も担っています」とあります。