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第4回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会

ご挨拶

第4回学術大会開催にあたって

 東日本大震災から1年半が経過しましたが、その被害は極めて甚大で、被災地の復興活動は端緒が開かれたばかりです。宮城県でいえば、震災による死者・行方不明者は約 1万2千人(人口の0.5%)、全壊した医療施設は 9病院、127診療所、使用不能な病床は千床を超えました。宮城県の推計では、その被害額は全県で 9兆円、医療機関で 334億円に上ります。

 今日、全国からの大きな支援の下、ズタズタになった地域医療の立て直しが全力で進められています。被災した病院・診療所の再建には、施設の統合・再編による医療資源の再配置、円滑な医療連携システムの構築が不可欠ですし、震災に伴う医療従事者の減少や流出で、一層深刻化する不足と疲弊の課題に対しては、マンパワーを確保する迅速で効果的な対策が求められています。

 また、被災地における優先度の高い支援の対象や内容は、時間の経過とともに大きく変化します。最近では、被災者の震災関連死(震災後のストレスや持病の悪化による死亡)の防止や、二次被災者の心(医療従事者、行政職員などで顕在化する抑うつ症状などの惨事ストレス)のケアが喫緊の課題となっています。

 こうしたことから、今次大会のメインテーマは「新しい地域医療を拓く」とし、特に、東日本大震災の惨禍を乗り越え、地域医療を迅速に復興、進展させる上で、プライマリ・ケアの果たす役割等を考える機会にしたいと思います。大きな災害時に、地域医療をどう確保、展開するのか、災害大国日本ではいつも考えておかねばならない重要な課題と思われます。

 被災地仙台で開催の今次大会が実りあるものとなりますよう、積極的なご参加と活発な討議を願ってやみません。

大会長:濃沼 信夫(東北大学客員教授)