ご挨拶
前野 哲博
筑波大学医学医療系 地域医療教育学 教授
第6回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 大会長
我が国の医療をめぐる環境は厳しさを増す一方ですが、中でも急速に進む高齢化は社会的に大きな問題になっています。人びとが安心して健康に暮らしていくためには、単なる疾患の治療だけではなく、家族、予防・健康増進、介護・福祉、生活環境などを含めた幅広い視点から暮らしをサポートする地域医療が必要不可欠です。
あらゆる健康問題に取り組む能力とマインドを持つ総合診療医は、「地域医療の核となり得る存在」(平成25年 社会保障制度改革国民会議報告書)として社会からも大きな期待を集めています。2017年度からスタートする新しい専門医制度でも、総合診療専門医が基本領域の専門医として位置づけられることになり、その制度作りが急ピッチで進められています。
第6回学術大会が開催される2015年は、その2年後に始まる新専門医制度に向けて、研修プログラムの認定作業が本格化する時期に当たります。それと同時に、後期高齢者が一気に増える、いわゆる「2025年問題」まで10年という節目の年でもあります。人材を育てるには長い時間を要することを考えますと、地域医療を担う医療人の育成システムの構築は、まさに今、待ったなしの課題であると考えてよいのではないでしょうか。
そこで、今回のテーマは「人びとの暮らしを支える医療人の育成」としました。次世代の地域医療を担う人材を育てるために、我々が何を学び、何をなすべきかを共有する機会にしたいと思っております。
筑波は東京から電車で1時間以内の距離にあり、交通も便利です。研究学園都市として計画的に整備された街は過ごしやすく、自然にも恵まれています。ぜひ多くの方々の参加をお待ちしております。